2011年5月26日木曜日

カンボジア、SEZで誘致合戦:ジェトロがCLMセミナー(上)

カンボジア・ラオス・ミャンマー(CLM)の経済特区(SEZ)に関する投資セミナーを日本貿易振興機構(ジェトロ)バンコクセンターが先週、バンコクで開催した。昨年だけで10社以上の日系製造業が進出を決めたカンボジアでは、国境や首都、同国唯一の港でSEZが稼働または整備中。製造業が進出する際に優遇恩典などが得やすいSEZの、入居企業誘致合戦も進みそうだ。(遠藤堂太)

 セミナーには約260人の日本人が参加。開会の挨拶で山田宗範所長は、「バンコクに居ながらにして、タイに隣接する3カ国の投資環境が分かる機会。一方、CLMのSEZにとっては、ライバルは国内だけでなく、国外にあり、投資環境改善に向けた競争ともいえる」と述べた。

 カンボジアには現在、21のSEZが認可され、そのうちの7カ所が建設中または稼働中。セミナーでは5つのSEZがプレゼンテーションを行った。

 SEZに入居する投資優遇案件(QIP)企業は、輸出加工型製造業に対しては、建設資材、生産設備、生産に使う原材料の輸入時の付加価値税(VAT)が免除されるなどの恩典がある。

 ■タイ国境に日系車両部品も

 カンボジアの5大財閥の一つ、LYPグループのセン・ニャク・ディレクターは同社が手掛けるSEZ事業について語った。

 LYPがすでに稼働させているのは、タイ国境からわずか2キロのコッコン経済特区(KKSEZ)。総面積350ヘクタールを開発予定で、一画の現代自動車の組み立て工場の生産が始まったばかり。

 部品はタイ側から陸送で全量輸入し、製造した車はカンボジア国内向けに販売される。現在は従業員100人規模だが今後の増員や、ほかにも入居を予定している企業があることから5,000人分の従業員寮を建設する計画だ。

 ニャク氏はNNAに対して、現代に続いて5社が入居を予定または前向きに検討していることを明らかにした。この中には日系自動車部品メーカーも含まれる。同社は完全な輸出加工型で、KKSEZまで乗り入れが可能なタイ車両と約300キロ離れたタイ・レムチャバン港を活用。カンボジアの人件費の安さと、タイのインフラを活用する物流コストの安さが進出の決め手のもよう。

 人口の少ないコッコン地区だが、タイ東部の工場やリゾートへ出稼ぎに行っているコッコン州出身のカンボジア人の人数を考慮すると、5,000人のワーカーを集めるのは可能だとニャク氏は考える。

 タイ・カンボジア国境で紛争が続いていることについて聞くと、「タイ・トラートとカンボジア・コッコン地区の駐留部隊は仲が良いため、衝突は起きないだろう」とニャク氏はタイ語でも語り、コッコンの操業は安全だと述べた。LYPのリー・ヨン・パッド会長は、タイ・カンボジアの二重国籍を持ち、タイのタクシン元首相とも親しいという。それだけにLYPが開発するSEZの運営手腕が日系メーカーに評価されるかが注目される。

 カンボジア国内には産業基盤がなく、コッコンの電力はタイから供給されているのが実態だ。このため、タイとのパイプを持つLYPがKKSEZのほか、国境のカジノホテル、周辺道路インフラを開発。国境イミグレーションも自社資金で建設した。

 ■コッコン州に重工業構想

 LYPのニャク氏は、重工業地区となりうるキリサコール・コッコンSEZと、プノンペンでインフラ開発を行っているガーデンシティ内のガーデンシティSEZの構想をプレゼンテーションで明らかにした。

 キリサコールはコッコンからシハヌークビルに向かう国道48号線80キロ地点から海岸へ30キロ入ったコッコン州キリサコール郡内の3カ村(プレークサック・プニメアス・チュロイプラス)の2,300ヘクタールに建設される。沖合5キロで17メートルの水深であることから、構想段階としながらも、重工業や発電所事業を想定していると語った。コッコン州ではこれまで、タイ向けの石炭火力発電所(出力3,660メガワット=MW)の構想があることから、タイ・カンボジアの関係が改善すれば実現の可能性は出てくるかもしれない。なお、キリサコールSEZ予定地から約40キロの地点では中国支援によるストゥンタタイ水力発電所(246MW)が2013年に稼働予定で、同SEZの電源となる見込み。

 ガーデンシティはプノンペンのメコン川とその支流に挟まれた国道6号線と5号線を結ぶ湿地帯に、橋りょう建設なども含めた新都市1,200ヘクタールをLYPが建設。そのうちの50ヘクタールをSEZとするという。

 ■港SEZ、日系に照準

 約40億円の円借款を投じるシハヌークビル港経済特区(SEZ)は今年12月末に入居企業の工場着工が可能になる。昨年12月にリース権の予約販売を開始。地代は、面積が10ヘクタール超でリース期間が20~25年間の場合は1平方メートル当たり40米ドル(1米ドル=約81円)、1ヘクタール以下で50年間の場合は65米ドル。数社と最終的な条件を詰めている段階だ。

 近くには中国企業が開発したシハヌークビルSEZがある。運営主体のシハヌークビル港湾公社のノルン・ソエット・マーケティングディレクターは、港SEZは日本企業をターゲットとし、中国系との違いを強調。シハヌークビル港と直結する港SEZは国内輸送費がほぼゼロになることや、シハヌークビルから日本までの積み替えなしの直行貨物船が就航したことを強調した。

 「カンボジアで一番値段が高く環境問題を配慮したSEZ。縫製業一辺倒だったカンボジア産業の多様化・高付加価値化を促す日系企業に進出してほしい」と訴えた。日本工営が今年末まで販売・管理運営業務を支援しており、問い合わせが可能だ。

 国営であるシハヌークビル港湾公社。工業団地運営のノウハウ構築はこれからだけに、日系企業が満足する戦略立案も急務だ。

 なお、中国系シハヌークビルSEZは「日系企業はターゲットにしていない」として、今回のセミナー参加を断ったという。

NNA

カンボジアの為替・物価は安定:中銀ソッカ総局長に聞く

カンボジア中央銀行(NBC)で広報官も兼務するグオン・ソッカ総局長に最近の為替レート、物価、金利について聞いた。

 ベトナムは脱米ドルを目指したために通貨ドン安とインフレに苦しんでいる。一方のカンボジアはドル化した経済で市場が為替レートを決定。リエルの信任を高めていくためにも対ドルレートの一層の安定が不可欠だ。【鈴木博】

 ■ベトナム・ドンとは対称的にリエル高が続くが

 カンボジアの通貨リエルは堅調で、4月には心理的抵抗線の4,000リエル/米ドルを一時超えて3,900リエル台になるなど、リエル高が続いている。その要因としては基礎的な要因と季節要因がある。

 基礎的要因については、昨年秋の米国の量的緩和以降、米ドルは、対ユーロ、対円だけでなく、カンボジアの主要輸入先国の対中国(人民元)、対タイ(バーツ)でも値下がりが続いている。この状況の中で、カンボジアリエルも買われたと考えている。

 ベトナムは、カンボジアに比べると、為替市場が閉鎖的であり、その点からドンが売られるということもある。また、ベトナムは脱ドル化の途上でもあり、何かあるとドルに戻るということもある。カンボジアの為替市場はオープンであり、原則として市場が為替レートを決定している。

 ■リエル高の季節要因とは

 カンボジアは高度にドル化した経済だが、農村部ではリエルが主流。このため、農産物の収穫期には、コメの買い付けでリエルが必要となるため、リエル高となるのが通例だ。毎年10~4月はリエル高、5~9月はリエル安ということが多い。また、3月末は、税金の支払い期限となるが、税金もリエル建てなので、リエル需要が高まる。さらに、4月中旬のクメール正月の時期も地方部を中心にリエル重要が高まる。これらの季節要因で3月末から4月にかけてリエル高が進んだと考えている。

 ■昨年はリエル安で中銀は為替市場介入を続けたが、レートの目標圏はあるか

 目標圏は設定していない。ただ、カンボジアはドル化経済であり、リエルの信任を少しずつ高めていくためにもリエルの対ドルレートの安定が必要である。そこで、4,000~4,100リエル/米ドルを「気持ちの良いゾーン」として考えている。ここから大きく離れる場合や、動きが速すぎる場合には、中央銀行として為替市場に介入することがある。

 ■ベトナムや中国はインフレ圧力から、総需要抑制政策に舵を切り始めた。カンボジアの現状と政策の見通しは

 カンボジアはドル化したオープンな経済であるので、国際商品の値上がり等海外の動きが直撃する。また、ドル化経済のため、金融政策も限られている。

 ただ、カンボジアの物価上昇率はいまだに年4%以下であり、ベトナムを含む新興国の状況と異なっている。国際石油価格の上昇は気がかりだが、本年1月から石油類の関税を引き下げており、国内ガソリン価格の安定に寄与している。

 また、消費者物価指数の45%を占める食料品価格が上昇していないことも安心材料である。銀行セクターの貸付の伸びも年20~25%と順当な範囲に収まっている。海外からの資金流入も、輸出、直接投資、ODA、海外からの送金等も昨年から比べると大きく伸びているが、経済危機前のレベルに戻った程度であり、心配するレベルではない。

 現時点で中央銀行としては、状況をしっかりとみている段階であり、総需要抑制政策をとる段階ではないと考えている。

 ■金利の動向は

 銀行セクターでは、平均貸付金利はあまり変化していない。ただ、平均であるので、個別のローンの中には貸付金利の低いものも出てきていると考えている。他方、預金金利の低下は明らかである。これは、最近、各銀行が十分な流動性を確保しているためである。

 ■平均貸付金利が15~16%と高い要因は

 銀行セクターのコストの高さに問題があるとみている。小口の貸付、預金が多く手間がかかること、信用情報が不十分で審査が保守的で人手もかかること、IT化の進展が不十分なことなどが課題となっている。

 <メモ>

 ソッカ総局長

 1988年 東ドイツ ライプチヒ経済大学卒

 1992年 同 博士課程卒

 1993年 カンボジア中央銀行 国際収支課

 1996~97年 現・政策研究大学院大学移行経済プログラム(当時は埼玉大学)

 1997年 カンボジア中央銀行 国際経済調査課長、以後経済・統計総局副総局長などを歴任

 2010年 業務総局総局長(Director General, Technical General Directorate)、今年から広報官も兼務している


NNA

Climate Conversations - Have countries delivered on fast-start climate finance?

Campaigners call on world leaders to fulfill their promises on a global climate fund, Phnom Penh, Cambodia, Nov. 29, 2010. REUTERS/Chor Sokunthea
As the reporting deadline for 2010 looms, developed countries will need to prove that they are honestly meeting their modest $30 billion commitment.

WRI has released an updated summary of developed countries’ “fast start” climate finance pledges. These funds are intended to help developing countries reduce emissions and adapt to climate change from 2010-2012.

To date, 21 developed countries and the European Commission have publically announced individual fast-start finance pledges totaling nearly $28 billion to meet the $30 billion commitment in the 2009 Copenhagen Accord.

In last year’s Cancun Agreements, developed countries reaffirmed their commitment and also agreed to provide greater transparency on the delivery of their pledges – in other words, information not just on what the pledge is, but on how the country plans on meeting it.

The timing of this information is crucial as developing countries await progress in this area before moving other pieces of the Cancun Agreements forward. For example, major developing countries – Brazil, China, India and South Africa – have explicitly linked progress in the Green Climate Funds discussions to the sizeable flows of fast start funds.

Developed countries are invited to voluntarily provide this information in annual reports to the UNFCCC Secretariat in May 2011, 2012, 2013. Unfortunately, the Cancun Agreements contain no specifics on what format the reports should follow.

With the May deadline looming, what do we already know about what developed countries are providing? Our updated summary presents the most up-to-date information available. The summary reveals that most developed countries are making tentative progress towards delivering their commitments. However, the information available is neither complete nor consistent, and developed countries should provide comprehensive and comparable information on the delivery of fast start finance in 2010 in the reports they submit this month.

May deadline

Some news reports have suggested that developed countries have “missed” the May deadline for reporting. This is based on the May 1 deadline specified by the secretariat. However, since the Cancun Agreements do not actually specify a particular date in May, countries are not obliged to provide information by May 1, and could reasonably be expected to submit their information by the end of May.

WRI is aware of several countries that are working on preparing these reports and we expect to see submissions fairly soon. It is important that they all meet the May deadline in the Cancun Agreement, and submit comprehensive and comparable reports and be completely transparent about underlying assumptions behind the numbers. The summary of pledges we are releasing today provides the most up-to-date information available, and will be updated once all country reports are formally submitted.

Changes in pledges

While there have been no significant changes to the overall pledges, further details are emerging on how the pledged resources are being mobilized and allocated. There have been some concerns over the impact of Japan’s aid cuts and U.S. budget cuts on their respective fast start commitments. These events may have an impact on 2011 and 2012 allocations of these countries, but there have been no formal announcements by either country since these events.

The United States, in particular, has never made specific numerical commitments as part of their overall fast start pledge for the period 2010-12, always maintaining that it will contribute its “fair share.” The ambiguity in the overall pledge makes it hard to assess changes resulting from the budget cuts. Moreover, the budget documents do not allow us to accurately estimate the total fast start finance available for 2011. However, it is quite likely to be lower than the $1.9 billion that the administration had requested for FY2011 in early 2010 from the previous Congress, and some unofficial estimates indicate that it will be under $1 billion.

Did countries meet their 2010 pledges?

Since many countries have not yet made public the resources that they have actually delivered for 2010, it is not possible to provide an accurate overall estimate. However, the updated summary does contain information on actions taken by the executive bodies of some countries. The amount requested and/or budgeted by these bodies totals roughly $12 billion.

Some countries have reported more specific information. For example, in November 2010, Germany indicated that it would disburse 356 million euros in 2010, while the UK indicated that it had approved £568 million for specific programs in 2010-11. This means that Germany and the UK will still need to allocate 904 million euros and £932 million, respectively, in fast start funds by 2012 in order to meet their pledges.

Better reporting standards going forward

Since we started tracking fast start pledges over a year ago, voluntary reports by each developed country have been quite varied, making it very difficult to track and monitor progress against the pledges.
To ensure clarity, WRI recommends that countries include the following elements in their submissions: the scale of finance provided, the method for determining that the resources provided are indeed ‘new and additional’, the institutions through which they are channeling resources, the objectives, geographic distribution, whether the amount pledged has been allocated or delivered, and the types of financial instruments used.

The uncertainty in estimating the exact amount of funds clearly underscores the need for greater transparency and consistency in reporting. Yet what is more important is that the finance is actually delivered at the pace and scale needed to address the growing threat from climate change. We are yet to see this sense of urgency as developed countries continue to teeter in honoring even their modest commitments.

Clifford Polycarp is a Senior Associate in the Institutions and Governance Program of the World Resources Institute (WRI).

Alertnet

Cambodia's Micro-credit Trap

A motorcycle taxi in Phnom Penh. (Photo: Ghbieler)
Roaming the streets as a motorcycle taxi driver in Dangkao district on the edge of Phnom Penh, Ek Sovannara is lucky to earn US$ 2.50 a day. But his aspirations once stretched much further.
In 2005 he was presented with an opportunity to borrow US$ 500 from Credit Microfinance Institution, a firm established by the Christian charity World Relief US in 1993, to set up a small food stall in Trapaing Krasaing commune where crowds of garment workers pass on their way to work. His decision that day to take the money would stay with him for years.

Since then, borrowing more and more from private lenders to pay back microlenders, he has fallen into a complicated web of debt now so severe that he is considering selling his house and about 50 square meters of land, together worth around US$ 6,000.  Though he has managed to pay back some of what he borrowed, his business ceased turning a profit two months ago. After successive borrowing to repay other loans, Sovannara still owes US$ 1,520 to Credit Microfinance Institution and a further US$ 400 to seven private moneylenders.

Sovannara, 39, is far from alone in his battle with debt. From its nascent days in the mid-1990s, Cambodia now has more than a million families with a microcredit loan in a population of 14 million people. That number is growing fast. Total outstanding loans as of the end of the first quarter amounted to US$ 711.8 million, an almost 10 percent increase over the previous quarter.
Like many others in his village, he has been approached by both private moneylenders and licensed microfinance institutions that hand out small loans with few strings attached, offering anywhere between US$50 and US$2,000.

Private lenders often allow borrowers to pay back the formal lenders, who in return agree to provide their clients with more credit. A lack of available credit history has also produced cases where clients have taken loans from more than one microfinance institution at the same time.

It is hard to know if this scenario is representative of the broader microcredit sector. Only licensed microfinance institutions are obliged to report on loan defaults, while smaller, registered institutions do not.  According to figures from the Cambodia Microfinance Association, non-performing loans among licensed institutions were calculated to be just 0.99 percent in the first three months of the year.

Defaults on loans appear to be even lower. At Chamroeun Microfinance, defaults on loans amounted to just 0.01 percent in 2010 while at Hatta Kaksekar Ltd, which started offering micro-loans as an NGO in 1994 and became a licensed MFI in 2004, defaults on loans was just 0.2 percent in 2010.

Microfinance institutions "have invested in improving systems and there are higher levels of control than before," said John Brinsden, vice president of Acleda Bank, the country's largest microcredit lender. He added that commercial banks in Cambodia were beginning to look at many licensed institutions as "serious peers" in the financial services industry.

Nonetheless, microfinance institutions admit that loan officers need more training to assess borrowers' creditworthiness and analysts say high levels of debt are a growing problem.
As Cambodia's microfinance sector has established itself, particularly over the last five years, a plethora of institutions have flooded into the market. Meanwhile dozens of non-governmental organizations and private moneylenders have also sought a piece of the action.

"In difficult times I took money from private moneylenders to pay back the loans I borrowed from the microfinance institutions," said Sovannara, who now relies on his wife’s job in a nearby garment factory as well as his meager income from the motorcycle taxi service. "I feel scared I will lose my home as so many people in my village lost their house to debt problems."

The scenario being played out in Sovannara's village in Trapaing Krasaing commune—a tight-knit community where strife in the quest to earn a living is shared—is at times dismal.  Both poverty and crippling debt levels loom over the heads of many here. By day, credit officers from some of Cambodia's 27 licensed microfinance institutions travel round on motorbikes looking for new clients and collecting outstanding debts.

While acknowledging instances of high debt levels, those in the industry say that most microfinance institutions are largely healthy and have stringent policies on only handing out loans to those with viable incomes.  Still, Chan Mach, general manager of Credit Microfinance Institution, which has a loan portfolio of US$35 million in micro-loans, making it the country's fifth largest microcredit institution, said he was aware of the problems facing the microfinance sector.


Irrawaddy

2011年5月15日日曜日

脚のない盲目トカゲを発見、カンボジア

脚がなく、目も見えない新種メクラトカゲ
(Photograph courtesy Thy Neang et al Zootaxa/Flora & Fauna International
カンボジアの山地で脚のない盲目のトカゲが見つかったと自然保護団体が発表した。

 新種のメクラトカゲ(Dibamus dalaiensis)は体長15センチ。盲目で脚のないトカゲが東南アジアで見つかったのは初めてだ。世界を見渡すと、四肢が退化したトカゲは200種を超え、新種の爬虫類も過去10年で50ほど発見されている。

 ファウナ&フローラインターナショナルに所属する爬虫類と両生類の専門家ネアン・タイ(Neang Thy)氏は最近、カンボジア南西部に位置するカルダモン山脈の丸太の下でメクラトカゲを発見した。「最初は一般種かと思ったが、よく見てみると初めて出会う種だった」とタイ氏はプレスリリースで述べている。

 近年、カルダモン山脈では次々と新種が見つかっている。1990年代まで、研究者は立ち入ることさえできなかったためだ。

 ファウナ&フローラインターナショナルで保全生物学の研究をするジェニー・ダルトリー氏は、「一帯はクメール・ルージュ(ポル・ポト派)の支配下にあったため、地域自体についても生息する動物についても実態はほとんどわかっていない」と説明する。

 共産主義政党のクメール・ルージュは、1975年から1979年までカンボジアを支配し、その後もゲリラ活動を展開していたが、1998年に最後の拠点がカンボジア政府に制圧された。

「カルダモン山脈で初めて動物の生態を調査したのは10年前だ。以来、タイ氏は驚くような新発見を続けている」と、ダルトリー氏はナショナルジオグラフィック ニュースに語った。ヘビは脚のないトカゲから進化したと考えられている。両者の違いは、外耳をはじめとするトカゲの特徴を保持しているかどうかだ。

 脚がなく、目も見えないトカゲの起源は南北アメリカ大陸である可能性が高い。約5500万年前、ベーリング海峡を渡ってアジアに入り込んだようだ。

 現生する脚のないトカゲと同じく、今回の新種も地下で暮らしていると考えられている。地下では、目も脚も必要ない。「地下のトンネルが生活圏なら、歩行能力も視覚も無用の長物だろう」とダルトリー氏は話す。

 このメクラトカゲについては未解明の部分がほとんどだが、鼻を頼りにミミズやアリ、シロアリを捕まえている可能性があるという。「まだ名前が付いただけの段階だ。もしかしたら非常に珍しい種類かもしれない」とダルトリー氏は語る。

「われわれが知る限り、カンボジアの山の一角でしか見つかっていない。樹木伐採や土地の放棄によって生息環境が破壊され、危機的な状況にある場所だ。新種が発見されても、次の年には絶滅する危険がある」。

 この新種発見は「Zootaxa」誌の4月21号に掲載されている。

Dave Mosher for National Geographic News

ナショナルジオグラフィック 公式日本語サイト